【ダウンロードできます!】七尾市高階地区 ”集落の教科書”第一版が完成しました!
石川県七尾市高階(たかしな)地区
七尾市内で「移住の里」ともいわれる高階地区では、空き家情報を整理したり、移住体験の住宅を用意したりと、移住定住に関する多彩な取り組みに力を入れ、ここ4年間で幅広い世代の全8組が移住しています。
たかしな地区活性化協議会では 更なる移住・定住促進のため平成30年度の事業として移住者向けの情報誌「集落の教科書」を作製し、この度完成を迎えました。
集落の教科書 石川県七尾市高階地区 第一版 / ダウンロードはコチラ(約19MB)
高階地区の皆さま完成おめでとうございます!
ということでここからは、集落の教科書の編集長を務めた
七尾市地域おこし協力隊の任田和真さんに完成までの秘話をお話しいただきます。
「”集落”と”教科書”はどちらも馴染のある言葉ですが、”集落の教科書”というと最初は何が載っている教科書なのか、見当がつきませんでした。」と第一印象を語る任田さん。
集落の教科書完成までの経緯を伺いました。
第一章:集落の教科書とは
■まずそもそも集落の教科書とはなんなのでしょうか。
「集落の教科書とは、その地域の暮らしにまつわるルールやしきたり、風習などを明文化してまとめた情報誌のことです。主に、その地域で暮らしたいと考える移住希望の方に向けて作られています。もしあなたがその地域に住みたい!と思ったときにその教科書をみればその地域の予習ができるというか…」
「町会費の金額や、草刈りなどの地域活動の種類や頻度、町会の役員の決め方や、お葬式のお手伝い等、同じ集落内でも町会ごとに違うルールのようなものをまとめています。町会費がいくらで、草刈りは年に何回あって…みたいな情報は、たとえ今の時代と言えどGoogleで検索しても出てきませんからね!笑」
■集落の教科書はご自身で思いついたのですか。
「いえ、違います。移住計画のメンバーでもある太田殖之さんから京都でこんな取り組みあるけど、これ七尾でも作らない?と言われたのがきっかけです。パッと見てこれめっちゃ面白い!!と思ったので、すぐに発行人である、 京都府南丹市のNPO法人テダス さんに、話聞かせて下さい!とアポを取って実際に行ってきたのが最初の始まりです。」
任田さんは、まず発行人であるNPO法人テダスの副理事長田畑昇悟さんに京都府南丹市世木地域で始まった、集落の教科書の事業についてお話を伺ったそうです。
いいとこ自慢じゃない、その地域の伝え方。
世木地域:「移住者が来てくれるけど、すぐに出て行ってしまう、どうしたらいい?もっとこの集落の良さを伝える何かを作ってほしい!」
田畑さん:「いいとこ自慢では、実際に住んでから田舎暮らしのルールやしきたりに戸惑いトラブルがおこることもある。それが原因で定住できない場合もある。いいとこ自慢だけじゃなく、そうでない暮らしにまつわる情報もちゃんと伝えられる情報誌を作りませんか?」
「そんなところから、集落の教科書作りがスタートしたそうです。都会の暮らしから見ると、一見煩雑に見える田舎ならではのしきたりやルールは、移住してきた僕にとってはそれこそが田舎暮らしならではの面白さだと思ったんです。
だからそれを表現している集落の教科書は面白い。高階でも真似したい!と素直に思いました。そして”いいとこも、そうでないことも、ちゃんと伝える”というコンセプトが本当に素敵だなと。」と当時を振り返って任田さんは語ります。
第二章:集落の教科書ができるまで
■そんな南丹市の取り組みに共感し、高階版の集落の教科書を作ろう!とのことですが、実際に何から始めたのですか。
「この集落の教科書作りは地域住民のみなさんの協力なしには絶対にできないものなので、まずは高階の方々に集落の教科書を知ってもらうためのイベントを企画しました。」
実際に田畑さんを高階地区にお招きし、講演&ワークショップの特別座談会を行った。
「地域住民約40名ほどに集まって頂き、まずは京都府南丹市で行っている集落の教科書の取り組みや経緯、その効果まで実例を踏まえてお話しいただき、高階地区での必要性を住民のみなさんに説いてもらったのです。ワークショップでは現状課題を話し合い、創造的なアイデアがたくさん出たので住民のみなさんの顔が生き生きとしていたことを覚えています。」
「この座談会をきっかけにして、地域の方々の理解を得て集落の教科書作りが本格的に進んでいきました。」
■どのように教科書に記載する情報を集めたのですか。
「実際に集落の教科書を作るためには、
① コンセプト・記載項目決定
② ヒアリング調査
③ 情報整理
④ デザイン校正
の大きく4つの要素に取り組む必要がありました。その中でも、到底ひとりじゃできないと思ったのが、【②ヒアリング調査】です。集落の教科書に記載してある情報は、インターネットで検索しても得ることができないものばかり。つまり膨大な量の情報を、実際に聞き取り調査しないといけない。考えただけでもゾッとするなと。そこで、若い力を借りるため大学生の集落インターンシップを募集しました。」
【能登留学】新米地域おこし協力隊の右腕!たかしなの教科書作りにささげるアツい夏!
「集落の教科書が完成したのは、彼女たちのおかげと言っても過言じゃありません。都会から来てくれたふたりの大学生と一緒に3人で約1か月間必死で頭を捻って ①コンセプト・記載項目決定 ②ヒアリング調査 ③情報整理の要素に取り掛かかりました。 」
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コミセンも賑やかに! -
自転車で集落を走って調査! -
町会長にヒアリング -
田舎の習慣は分からないことばかり! -
気づけば3時間ヒアリングすることも -
町会長ありがとうございました -
中間報告会の様子 -
最終報告会の記事 -
最終報告会の様子 -
最終報告会には約40名の地域住民が聞きに来てくれました!
「私たちには帰る場所ができました。約1か月間必死でインターンシップに取り組み、辛いこともありながら彼女たちが最終報告会でそう言ってくれたとき、僕は泣きそうなほど嬉しかったです。」と任田さんは言います。
「大学生が帰ってからは、残りの要素を自分で頑張るしかないので、とにかく情報を集めてまとめて、集めてまとめて……….その繰り返し。今年度の1年間はほとんど集落の教科書が頭から離れなかったですね。夢にもよくでてきましたし。笑」
「大方の情報収集が終わり、整理ができると、次は記載情報やデザインに関する校正会議を何度もしました。意見をまとめることは本当に難しかったのですがこの時に、”お前の町会は町会費安くないか?””へぇーこれウチの町会でもやろう!”などの声が上がり、同じ集落内なのに、隣町会のルールやしきたりを全然知らなかったんです!これには驚きました。そしてその議論は白熱してて面白かった。その議論を外から見ながら”あ、作って良かったな。”そう強く感じました。」
「そして約1年間かけて、色んな方々の協力を得て出来上がったのが、25項目全46ページに渡る高階オリジナルの世界にひとつだけの集落の教科書です。」
是非、ダウンロードしてみてください。
第三章:完成を振り返って
■完成までの約1年間、大変だったことはありますか?
「はい、めっちゃあります。納得のいくものができましたが、もう二度とやりたくないというのが素直な感想です。笑 でも、この集落の教科書制作を通して、何よりまず自分自身が一番成長できたかなと思います。今までに無い物を生み出していくには、大変なエネルギーがいりますが、その分期待も大きいです。最初は地域の方の関心も薄かったのですが、完成が近づくにつれ”いつ完成や?”とコミセンに顔を出してくれたり、地域の方々の期待が伝わってきたんです。途中であきらめそうな時もありましたが、そんな地域の期待の声を受けてなんとか最後まで走り切ることができました。」
■メッセージをどうぞ
「まずは、”真似させて下さい!”という不躾な要望に対して、快く受け入れてくれ、惜しみもなくそのノウハウを提供し、最後の最後まで伴走してくれた京都府南丹市NPO法人テダスの皆さま、改めて本当にありがとうございました。おかげさまで私たちの納得のいく形で集落の教科書ができました。」
「集落の教科書が全国にあったら面白い。それは、移住希望者にとってもそうだし、その集落にとってもそう言えると思います。今の情報社会の中で、まずは会いましょうとか、一度この町に来ればこの町の良さは伝わる。なんてことから始まる関係づくりではもう遅い。行ったことのない地域への興味をもってもらうためには勇気をもって自分たちの集落の情報を外部へアウトプットしていくこと。閉鎖的な田舎の集落であればあるだけそれが大切だと思います。
最後になりますが、この集落の教科書が、移住者と住民を繋ぐ架け橋となり、高階地区の未来を描く小さな道しるべになる事を祈り、そして平成最後の記録として活用されていくことを願っています。」
と、編集長は締めくくりました。
長きにわたるインタビューありがとうございました!京都府南丹市から始まったこの事業が七尾市高階地区を経てさらに広がりを見せそうですね!これからの展開に期待です!
任田和真さん、ありがとうございました!
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